2023.11.28 [years ago today]
# 「『風街ろまん』ジャケットの路面電車はどこを走っているのか」松本隆の“種明かし”
CREAから。「風街ろまん」の中ジャケの都電の絵の話。
電車の方向幕に「新橋」の表示があることから、1960年代初頭の霞町交差点(現在の西麻布交差点)付近を走る6番(新橋〜渋谷間を結ぶ)の都電を描いたもの、といわれてきた。
実際の当時の写真(これ)を見ると、電柱の「宮城産婦人科」の広告なんてのも実際にあって、ただこれだと坂の感じが違うので、てっきりこれを向こう側から見たのが中ジャケの絵だと思っていたのですが……
「でもね、みんな熱心に研究してくれているんだけど、実際はそうじゃない。種明かしをしようか」と松本さん。
お?
「宮谷さんのところへ打ち合わせに行くと、資料用に撮った東京の風景の写真をまとめたアルバムがあるから、その中から好きな風景を選んでほしい、と言われたんだ。そこでピンときたのが、S字カーブの長い坂ですれ違う路面電車の写真。『これはどこを走ってるの?』と聞くと、『王子だよ』と宮谷さん。荒川区の三ノ輪と北区の王子を結ぶ都電荒川線の写真だと言うんだ。
王子はぼくの叔母がかつて住んでいた街だったし、幼少期に何度か遊びに行ったことがある。ただ、ぼくには少々馴染みがあっても、細野さんや大滝さん、茂とは関係がないし、ぼくらが活動の拠点としている渋谷界隈からも遠すぎる。『じゃあ、渋谷〜新橋を走っているように見えるよう、行き先を変えてもらえないかな』。ぼくが宮谷さんに注文したのはそれだけ。
でも、ディテールにこだわった宮谷さんは、当時霞町交差点付近にあった建物をちょっとだけ描き足したんだと思う。宮城産婦人科の広告看板がある電柱とかね。それがあることで、『これは昔の霞町だ』とみんなが錯覚することになったんだ」
これはびっくり。きっとこんなネタまだたくさんあるんだろうなあ^^;。